漫画でわかる①・カール・マルクス『共産党宣言』で説かれた「過剰生産恐慌」

近代ブルジョワ社会は、自らの魔法で導き出した地底の力をもはや支配することができなくなった魔法使いに似ている。【引用:『新装版 新訳 共産党宣言: 初版ブルクハルト版(1848年)』p48 カール・マルクス (著), 的場昭弘 (著, 翻訳) 】

 マルクスが主著『共産党宣言』の中で説いた「過剰生産恐慌」について、人工知能に解説を求めるとケインズ経済学的な意訳のなされた文章が出力される。マルクス自身は、過剰生産によって国民所得減と有効需要減が起こるとは主張していない。ただ、「ブルジョワ的文明とブルジョワ的所有関係に役立っていない」と、はっきりと述べている。そもそもマルクスが「恐慌」と呼んだ対象は、ケインズが直視した世界恐慌(大規模な非自発的失業)に留まらず、大量廃棄、一揆、打ちこわし、飢餓や戦争などを含んでいる。
 現代の事例で言えば、たとえば日本の廃棄衣料問題と、イラン戦争(2026.2.28)とが同じ問題の異なる顔であり、問題とは資本主義の矛盾だという。恐慌を以て恐慌を制すとは、ブルジョワ文明そのものが致命的に破滅する恐慌が起きないようにする為に、ほどほどの恐慌が常に必要だということだ。ただしマルクスの述べた事を、「ブルジョワ階級とは恐慌を以て恐慌を制す愚かなウィザードだ」と紹介するのは皮肉や冷笑が過ぎていると思われる。言っている事は要はそういうことだとしても、マルクスは不屈の精神で読者を説き伏せようとする。
「役立っていない」とは、マルクスなりの弁護なのかもしれない、要は望んだものではないとか、最善ではないとか。

ブルジョワ階級は自らを死に至らしめる武器を研ぎ澄ましただけではなく、この武器を使う人々――すなわち近代的労働者、プロレタリアを作り出したのである【引用:『新装版 新訳 共産党宣言: 初版ブルクハルト版(1848年)』p48 カール・マルクス (著), 的場昭弘 (著, 翻訳) 】

 マルクスは恐慌の中でも特に暴力的な恐慌を引き受ける労働者階級を、ブルジョワ階級とは熱心に生み出し続けた存在だと述べた。マルクスの思想は大いなる巨視であり、一国の経済を念頭に置く教科書的なマクロ経済学との対比であれば、とても全球的な試みだったと言えるだろう。

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