刑罰と人権――罪刑法定主義・一般予防・謙抑性

刑法は国家が人に不利益を課す最も強い領域であり、だからこそ原理原則が重視されます。大陸法系と法実証主義の関連の中で「罪刑法定主義」が挙げられるのは象徴的です。刑罰権の行使は濫用されうるため、何が犯罪でどの刑罰が科されるかを事前に法で定め、恣意的処罰を防ぐ――その発想が罪刑法定主義に結びつきます。

刑罰の機能としては、一般人の心理に影響を与えて犯罪を予防する一般予防が整理されています。刑罰は「怖いからやめる」という単純な効果だけでなく、社会の規範意識を支える役割を担う面もありますが、同時に刑罰は峻厳であるため、できる限り差し控えるべきだという謙抑性も要請されます。つまり、刑罰は「効くなら重くしてよい」という道具ではなく、権力濫用を防ぎ、人権を守る枠の中で最小限に行使されるべき手段として位置づけられます。

この回で押さえるべきは、刑罰論が「犯罪者をどう罰するか」ではなく、「国家がどこまで人に介入できるか」という統治論でもあることです。だから刑法は政治学とも接続し、自由民主主義が掲げる権力制限の原理と連動します。

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