編入予備校の「テキスト」とは一体どういうことなのか?

はじめに

編入学試験は情報戦か

編入学試験の準備とは、究極を言えば、試験当日に実力が存分に発揮出来ることです。さらに言えば、当日までにやるべき勉強がキチンと逆算されている状態を作ることだと思います。予備校のテキストとは、「落ちたくなかったらこれを読みなさい」と業者側が提案するものです。彼らなりに当日の実力発揮を確約するものです。とても強い情報財だと思います。

過去問は情報財か

志望校の過去問題を過去十年分解いて出題傾向を知ることは多くの受験生が執り行う試験対策です。しかし予備校によって見解がまちまちです。編入学試験は、ある年、突然に出題内容が大きく変わる場合もあります。それを根拠に「要は博打だ」と言って、過去問演習は無意味という予備校もあります。だったらなおさら志望校の過去問は穴が開くまで解くようにと、すすめる予備校もあります。どちらがまともな言い分かは、判断を読者にお任せします。

余談

編入予備校といっても様々で、英会話スクールがメインだったり、大学受験や大学院入試を指導していたりするついでにやってくれているタイプもあれば、専門学校を運営する傍ら編入学の受験対策指導をアウトソーシングするタイプもあります。中にはヤマ師のようなとても胡散臭い事業体も存在するので気を付けてもらいたいです。

受験生が志望校を併願することへの態度

編入学試験の良い所は一般入試と違って併願が容易なところです。――かつてはこれを謳い文句にする予備校も存在しました。今では「本当に行きたい大学を一つに絞れ」という予備校もあります。もしかすると彼らの出版するテキストも、その辺りの思想めいたものの影響を多分に受けるかもしれません。

出題傾向というものは存在したのか

一昔前の過去問で振り返る

格差社会

日大・経済(2018):日本政府は働き方改革の一つとして、正規と非正規の雇用労働者の格差是正に取り組んでいます。現在、その格差によってどのような問題が生じており、政府や企業などの組織はどのような対応が必要であるのか、具体的に論じなさい。(一部改訂)

獨協・経済(2015):格差社会を解決するために、企業はどのような役割を果たすことができるかについて述べなさい。

ポピュリズム

筑波・社会(2019):政治学には、「ポピュリズムは民主主義の敵である」という評価と、「ポピュリズムは民主主義の真の声である」という異なる評価が存在する。このことを踏まえて、現代民主政におけるポピュリズムの意味について、具体的な事例をあげて論じなさい。

関大・法(2018):ポピュリズムとはどのような現象を指しているのでしょうか。具体的な例(いずれの国でも、いずれの年代でも可)を挙げながら、ポピュリズムの背景をなす要因と、それが政治にもたらす弊害、あるいは可能性について論じなさい。

中央・法(2018):現代におけるポピュリズムとは何か、事例を挙げて説明しなさい。

ヘイトスピーチ

駒澤・GMS(2015):いわゆるヘイト・スピーチ(国籍・人種・宗教などの特定の属性を持つ集団に対する差別や暴力や憎悪を煽る言動や行為)が、日本では特に2013年以降社会問題となっている。現在、ヘイト・スピーチを法的に規制するべきか否か、という問題について、表現の自由や言論の自由をどこまで認めるべきかという論点を中心にして盛んに議論がなされている。また、近年のヘイト・スピーチは、ネット上でのさまざまな言説が現実のデモなどの行動と結びついている点が特徴である。
ヘイト・スピーチに対して日本社会はどのように対処していくべきか、情報・メディア・法律・産業・文化・国際関係などの視点から自分なりに主題を設定し、800字程度で自由に論じなさい。

中央・法(2019):いわゆるヘイト・スピーチ(憎悪表現・差別的表現)に対し、法的な規律を加えることによって生じうる憲法上の諸論点について、①現行の法律の範囲内で規律を行う場合、②現行法を超えた規律を設けた場合、に分けて論じなさい。

日本史・寛政の改革

江戸幕府の三大改革について(論述:広島・文・2018)
寛政異学の禁(語句説明:埼玉・教養・2019)
寛政の改革 (語句説明:関大・文・2019)
寛政の改革 (語句説明:奈良女・文・2017)

実際のところは誰もわからないけれど

当時、「〇〇大学で△△が出題されたからウチも出題しよう」とか実際にやっていたかどうかはまったくわかりませんが、そのような談合社会が存在した可能性を憶測できるだけの出題の重なりがあったのは事実です。※今、意味不明な日本語を話していたらゴメンなさい……。
ただ、その談合社会が現に存在していたとしても、そこに不参加だった大学と、おおむね参加気味だった大学とがありました。だから出題の重なりを意識してテキストを編纂したとしても無用の長物で終わった学生はいたはずです。

出題傾向とはまったく別の考え方

統計学の逸話

戦争中の話です。――空母に帰還した戦闘機の弾痕(被弾した痕)を調べたところ、翼への被弾が多く、コックピットへの被弾はほとんどなかった。これを知った統計学者は、被弾の多かった翼ではなく、コックピットを鉄板で補強するように進言した。なぜならこのように推論したからだ。「コックピットを被弾した戦闘機は生還できなかった!」

合格者がよく理解していた内容こそ補強するという発想

合格者が受験勉強中に学習して当日まで覚えていたことを、予備校が集積してテキストにするのは合理的な情報生産です。これは当日の出題が予想できなかったとしても成立します。とても極端な例を挙げれば、法学部の合格者で「法の支配」を勉強しなかったり、覚えていなかったりした人は絶対いないはずなのです。だからテキストでは「法の支配」を必ず教えるという発想になります。

予備校にはスケールメリットがある

編入予備校は大勢の学生の面倒を見ていると思いますから、その経験的なものを元手に再生産されるものも沢山あると思います。その一つがテキストなのでしょう。

独学勢が合格するには

予備校のテキストは何が優れているのか

しかしながら、予備校のテキストは入学前に非公開になっていることが多いです。どういった点で優れているのか納得がいくまで説明してくれる予備校はあまり多くありません。そのため外部からは「どういったロジックで弾き出された内容なのか?」が一切わからないです。

合格者を訪ねて三千里

合格者が読んだ本を自分も読んでみるのは有益です。予備校勢は予備校に任せきりになる傾向があるため、彼らと差をつけられる可能性があります。

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