民主主義は多数決を避けられません。しかし、多数決は万能ではなく、「多数者の専制」という危険を内包します。自由民主主義は、国家権力の行使を国民代表に付託しつつ、法の支配によって権力の濫用を防ぎ、個人や少数者の権利を多数者の専制から防御する政治原理だと整理されています。ここに、民主主義(人民の意思)と自由主義(権力制限・権利保障)の緊張関係が表れます。
この緊張関係は、憲法の位置づけにもつながります。憲法が最高法規として通常の多数決では改正しにくい硬性憲法である場合、それは多数派の短期的意思で基本枠組みを揺らさないための装置として理解できます。つまり、政治の決定が常に、いまの多数に従うだけなら、少数者の権利や手続の公正が損なわれかねないため、一定の領域を政治から距離を置いて守る――その発想の核に「多数者の専制」への警戒があります。
しかし、権利保障を厚くしすぎれば、今度は民主的自己統治が制約されるという批判も出ます。民主主義と自由主義は互いに補完しつつも、ときに相反する。基礎講座の段階では、どちらが正しいかを決め打ちするより、制度設計がこの緊張をどう調整しているか、そして調整が崩れると何が起きるかを考えることが重要です。

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