最後は、法と政治の射程を国境の外へ広げます。他国の法体系を導入することは「法の継受」と呼ばれ、継受法と固有法、母法国と子法国という整理が示されています。代表例として近代西欧のローマ法継受が挙げられ、さらに英米法系がイギリスで生成・発展し、アメリカなどに継受された、という説明もあります。法体系は歴史的・文化的に移植され、比較可能な法系として把握されるのです。
法の継受のメリットは、制度設計をゼロから構築する負担を減らし、一定の整合性をもつ体系を短期間で整備できる点にあります。他方で、固有の社会条件とのミスマッチが起きれば、運用が形骸化したり、正統性(納得)が弱くなったりします。法は当為の体系である以上、人々がそれを自分たちのルールとして受け止めることが実効性の条件になるからです。ここに、法の問題が常に政治(正統性)と結びつく理由があります。
さらに国際法をめぐっては、「制裁が弱いから法ではない」という主張が出がちですが、そもそも強制を法の本質的要素とするかは学説対立がある、と整理されています。強制を要件にすると憲法や行政法、国際法まで法でなくなり得るという批判も示され、強制力と、規範が持つ拘束性(守るべきだという強要性)を区別すべきだ、という議論が出てきます。国際法の問題は、国際政治の現実だけでなく、「法とは何か」を問う入口にもなるのです。


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